2025年も年末を迎え、今年シンガポールで話題になったニュースを振り返っていきたいと思います。

2025年総括:学校いじめが「炎上ネタ」ではなく「制度論」に変わった年
今年なぜ“いじめ”が大きく伸びたのか
2025年のreddit singaporeでは、いじめが単発の事件として消費されるのではなく、学校対応の透明性、加害者への実効的な抑止、被害者家庭の救済動線といった「制度の設計問題」として議論される傾向が強まりました。
象徴的だったのが、Sengkang Green Primary Schoolのケースです。複数のスレで、停学・体罰(caning)などの処分や、MOE(教育省)の説明に対して賛否が噴出しました。
同時期にMOEは、いじめ対応の包括的見直し(Comprehensive Action Review)を2025年初頭から進めていると説明し、保護者等を交えた対話や、今後の方針強化を示しています。
2025年に燃えた具体案件 どのエリアで何が起きたか
A. 北東部 センカン フェーンベール Sengkang Green Primary(小学校)
場所:15 Fernvale Road(Sengkang側)
何が起きたか(CNAの整理をベースに要点)
・発端:女子児童が同級生からのからかい・嫌がらせを受けたとされ、途中で水をかけられる出来事などが発生(時系列上は4月末以降の出来事として整理されている)
・その後:女子児童が人種差別的発言(racial slurs)をした点も問題として扱われた
・より深刻な要素:保護者に対する“いたずら電話”の中に、殺害を示唆する脅し(death threats)が含まれた旨が報道で触れられている
・処分:関与した児童3名が停学(suspension)、うち1名が鞭打ち(caning)とMOEが説明
・炎上の構造:母親が学校やMOEとのやり取り(メール等)をSNSに投稿し、MOE側は「当事者以外への追加の傷」や個人情報拡散(doxxing)にも言及して批判を浴びた
ここは「センカンの治安が悪い」ではなく、ファミリー居住比率が高い新興住宅地で、学校事案がSNS経由で一気に可視化されると全国論争に飛び火する、という構図として考えられます。
B. 北東部 ホウガン Montfort Secondary(中学校)
場所:50 Hougang Avenue 8
何が起きたか(MOE声明の要旨)
・2月22日:制服の生徒らが1人を押し倒し蹴る動画が拡散
・MOE説明:教室内の3人の喧嘩が起点で教師が止めたが、下校後に階段〜食堂で続いた。3人全員に相応の懲戒(caning / detention / suspension を含み得る)
この件が象徴したのは、「いじめ(bullying)なのか、喧嘩(fight)なのか」という定義闘争です。MOEの説明は“先に喧嘩があった”を強調し、ネット側は“映像上は一方的”に見える点に強く反応しました。
C. 北部 ウッドランズ Admiralty Secondary(中学校)
これは「いじめ」より「暴力・校内トラブル」寄りですが、2025年の議会答弁の文脈で一緒に語られ、Redditでも「学校は安全か」の不安を増幅させた材料です。
・1月7日の中1同士のトラブルで、1人が頭の傷の治療で病院に行った事案に触れ、教育相が2月4日に「いじめ・暴力を深刻に受け止める」「誰もいじめられるべきでない」と国会で述べた、と報道で言及されています。
ローカルの論点1:学校の説明が「見えない」ことへの不信
Redditで一番多い不満は、いじめそのものより「学校が何をしたのか、何が起きたのかが親に見えない」点です。特に被害者家庭側が“動いたのに状況が改善しない”体験談が強く共感を集めます。
コメント和訳(引用+訳)
“Lack of actual consequences. The ones getting bullied get scarred … meanwhile the bullies just get some teachers and counselors talk to them.”
和訳:実際の罰が弱い。被害者は一生傷を負うのに、加害側は先生やカウンセラーに話を聞かれる程度で終わる。Reddit
“They really say and do anything to protect their demon kids.”
和訳:加害者側の親は、自分の子を守るためなら何でも言うし何でもやる。Reddit
ローカルの論点2:ゼロトレランス幻想 vs 現実的な落としどころ
「ゼロトレランス(いじめは一発アウト)」を求める声は強い一方、現実には完全ゼロは無理で、発生頻度・深刻度・継続期間を減らす運用設計が重要、という冷静なコメントも伸びています。
コメント和訳(引用+訳)
“They should adopt a zero tolerance approach … Bullying is borderline criminal.”
和訳:いじめはほぼ犯罪。ゼロトレランスで厳罰にすべきだ。Reddit
“We can reduce the number… intensity… how long… but … we can’t stop school bullying entirely.”
和訳:回数、深刻度、期間は減らせる。でも学校いじめを完全にゼロにするのは不可能だ。Reddit
MOE側も、いじめを深刻に捉えつつ、対応の仕組みを見直していると説明しています(議会答弁や省内対話での発言)。
ローカルの論点3:「やり返すな」は被害者に不利では、という反発
Sengkangの事案を受けて、被害者側の反応(叫んだ、言い返した等)も処分対象になることへの反発が出ました。「先生に言え」だけでは間に合わない、という感覚です。
コメント和訳(要旨)
- 和訳:被害者が言い返したらそれも処分、という設計だと、被害者が先にダメージを受ける。加害側は目的を達してしまう。Reddit
ここは私達にも刺さります。日本の親でも「まず先生に」になりがちですが、ローカルの親は「報告→改善までの時間差」と「子どもの心理的損耗」を強く問題視しています。
事実パート:MOEが出している数字と、制度の方向性
いじめ件数についてMOEは、過去数年で大きく増えているわけではないという説明をしています。例として、1,000人あたりの年間平均は小学校で約2件、中学で約6件とする数字が引用され、Redditでも「数字の少なさと体感が一致しない」という話題になりました。
2025年は、MOEがいじめ対応を包括的に見直すと明確に述べ、教育関係者・保護者等との対話や、今後の強化方針を示しています。
MOEは一般向けにも、いじめを見聞きした際の基本行動(安全確保、信頼できる大人への報告など)を案内しています。
日本人向け:実務で効く「動き方」チェックリスト(シンガポール版)
編集部より。では不幸にも自分の子どもが巻き込まれてしまった場合、どうすれば良いのでしょうか。
前提:感情の正しさと、学校を動かす手順は別物。記録と段階的エスカレーションが効果的です。
- 当日〜48時間
- 子どもから事実を時系列で聞き取り(いつ、どこで、誰が、何を、先生は見ていたか)
- 写真・診断書・メッセージ履歴など証拠確保(ある範囲で)
- 学校へは口頭より先に、メールで要点を送る(後で「言った言わない」を防ぐ)
- 学校に必ず要求する中身(ここが弱いと揉めやすい)
- 安全計画:席・班・休憩時間の動線、教師の監督強化、接触回避
- 子どもへのケア:カウンセラー面談、定期フォロー(週1など)
- 進捗共有:いつ誰が何を確認し、いつ次回報告するか(期限を置く)
- 反応が弱いときの上げ方
- フォームティーチャー → Year Head / Discipline担当 → Vice Principal / Principal
- それでも改善が見えない場合、MOEの問い合わせ・フィードバック窓口を使う(Contact/Feedbackフォームが公開されています)。moe.gov.sg+1
SNSに出す前の注意
・証拠の保存は重要だが、公開はdoxxingや二次加害の火種になりやすい(センカン事案で争点化)
・公開するなら、個人特定情報を徹底的に落とし、目的(安全確保・制度改善)を明確に
注意点:私人制裁(相手家庭への直接対決、SNS晒し等)は、状況を複雑化させやすいです。Redditでも“学校の不作為への怒り”は強い一方、運用上は「学校が動ける形」に整える方が勝率が上がります。
まとめ
2025年のReddit議論が示したのは、「いじめは起きるか起きないか」ではなく、「起きた後、親が何を根拠に学校を動かせるのか」という運用設計の問題です。来年(2026年前半予定)のMOE最終提言が、学校現場の透明性と再発防止にどこまで踏み込むかが、ローカルの最大関心事になりそうです。
